いちえ



シャワーは終わったけど、まだ私全裸なんだけど!!


「ちょっ…待って!!今服着るから!!」


慌てて脱衣場まで駆け寄ると、バスタオルを一枚取り出した。


「着なくていーよ」



何を言い出すんでしょうか。この人は。


「ままままま待ってー!!!!」



私の言葉虚しく、隣で扉の音がして、慌ててバスタオルを体に巻き付けた。


そのまま扉を押されてしまおうかとも思ったが、そんな事適う相手なんかじゃない。


グッと踏みとどまり、胸元のバスタオルを握りしめた瞬間、いとも簡単に扉が開かれてしまった。



んぎゃー!!!!!



現れた瑠衣斗は、濡れた髪から滴り落ちる雫によって、何とも色っぽい雰囲気を無駄に醸し出している。


勿論、タオルを腰に巻いただけの姿で、月明かりを浴びたその体を、まじまじと見てしまう羽目になってしまった。


顔から火が吹き出すんじゃないかと言う位、顔が真っ赤になっているだろう。


こっ、こいつは…一応、レディーがこんな姿で居る事を分かってるでしょうに………。



「……変な顔」


「なっ、なっ、何で入ってくるのよっ」


力一杯そう言ってみるが、迫力も何もないだろう。


「別に…こんな場所で襲うつもりなんかねーよ」


「おそっ…!」



呆気に取られている私を余所に、スッと瑠衣斗が私を通り過ぎる。


訳の分からない私は、ビクビクとその様子を見ているしかできない。



「行くぞ」
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