いちえ



「…へっ?」


行く…?こんな姿でどこへ!!


ふと、目に入った瑠衣斗の耳が、赤く染まっている事に気付く。


…照れて…る?



「いーから。シャワーだけだろ。早くしねーと風邪ひくぞ」


私に見向きもしないまま、瑠衣斗は浴槽の隣に行くと、シャワーとは反対側にあるドアノブに手をかけた。



あんな所にドアがあったんだ……。


訳の分からないままの私は、立ち尽くしたまま瑠衣斗の背中を見ていた。


そんな私を、嫌そうな顔で振り返った瑠衣斗に、胸がドキリと縮む。


「…早く来い」


低い声で凄まれ、渋々と言ったように瑠衣斗に従う。



何でそんなにむちゃくちゃなの!!



グッと言葉を飲み込み、近くまで来た私を確認した瑠衣斗は、フッと息を抜くように肩から力を抜くと、目隠しから切り離すように造られている扉を押した。



「何コレ!!川に行けるの?」


「川じゃねーよ」



開かれた扉の先は、綺麗に整えられた石段になっていて、川まで続いているようだ。


扉を開けるとすぐに、縁に備え付けてある小さな下駄箱があり、そこから瑠衣斗は二足サンダルをとりだし並べた。



ザアザアと聞こえる川の音に、胸が弾む。


サンダルを履いた瑠衣斗に続くように、私も並んでサンダルを履いた。


小さな照明が、足元を照らし、それ以外は月明かりだけだ。


先が少し曲がっていて、どう見ても川があるとしか思えない。


こんな夜に何するんだろ。しかもこんな格好で………。


やっぱり恥ずかしすぎる。


「転ぶなよ」


「は、はい」


やっぱり恥ずかしい………。
< 242 / 525 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop