いちえ
「…へっ?」
行く…?こんな姿でどこへ!!
ふと、目に入った瑠衣斗の耳が、赤く染まっている事に気付く。
…照れて…る?
「いーから。シャワーだけだろ。早くしねーと風邪ひくぞ」
私に見向きもしないまま、瑠衣斗は浴槽の隣に行くと、シャワーとは反対側にあるドアノブに手をかけた。
あんな所にドアがあったんだ……。
訳の分からないままの私は、立ち尽くしたまま瑠衣斗の背中を見ていた。
そんな私を、嫌そうな顔で振り返った瑠衣斗に、胸がドキリと縮む。
「…早く来い」
低い声で凄まれ、渋々と言ったように瑠衣斗に従う。
何でそんなにむちゃくちゃなの!!
グッと言葉を飲み込み、近くまで来た私を確認した瑠衣斗は、フッと息を抜くように肩から力を抜くと、目隠しから切り離すように造られている扉を押した。
「何コレ!!川に行けるの?」
「川じゃねーよ」
開かれた扉の先は、綺麗に整えられた石段になっていて、川まで続いているようだ。
扉を開けるとすぐに、縁に備え付けてある小さな下駄箱があり、そこから瑠衣斗は二足サンダルをとりだし並べた。
ザアザアと聞こえる川の音に、胸が弾む。
サンダルを履いた瑠衣斗に続くように、私も並んでサンダルを履いた。
小さな照明が、足元を照らし、それ以外は月明かりだけだ。
先が少し曲がっていて、どう見ても川があるとしか思えない。
こんな夜に何するんだろ。しかもこんな格好で………。
やっぱり恥ずかしすぎる。
「転ぶなよ」
「は、はい」
やっぱり恥ずかしい………。