いちえ



…どう言う意味?そのまんまの意味…だろうけど。



何を言われたか良く分からずに、夏希をじっと見つめた。


「んな不思議そうな顔すんなって〜。まじ猫みてえ〜」


「えっ…いや〜…よく分からなくて」



夏希には、一切私の家族の話はしていない。



「きっと…もものために取っておいたモノ。沢山あるんだろうなあ」


「私のため……?」


「うん。例えば〜…何だろうな」


「…知らない」



そんなのないよ。聞いた事もないし。


ドレスは、私が幼稚園に通っていた時に、イタズラしようとお母さんとお父さんの部屋のタンスや戸棚を漁っていた時に見つけたモノだった。



そして、家族が亡くなる以前から一切近付かなかった両親の部屋に、微かな記憶を頼りに思い切って扉を開けたのだった。



今年で五年経つ筈の部屋は、私に相当な衝撃を与えたのだった。



「にしても、お似合いだなあ。初めて会ったけど、話聞いた通りお互いに想い合ってるって感じだなあ」


「でしょ?羨ましいよ」




「…ふうん。ももはちげぇの?」
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