いちえ
何だか微妙な感じがするけれど、触れられている事の方へ意識が向いてしまうせいで、何ともない言葉まで無駄に意識されてしまう。
「どうした?寝れねえ?」
どう答えたらいいのか分からない私に対し、瑠衣斗は答えなんて不要のようだ。
眠れないのは確かにそうだけど、それはるぅのせいでもあって……。
「うん…何かいきなり布団に入ったから、寝るって意識がなかったし」
そんな風に、見られているのが一番の原因だと思うんだけどな。
それに何より、明るいし。
「添い寝してやろうか」
目を細めて、悪戯っぽく笑う瑠衣斗に、釘付けになる。
瑠衣斗は男なのに、何だかやたらと色っぽく見えてしまうのは何故だろう。
そんな事をぼんやりと考えていた私は、言われた事の意味をようやく理解し、目を見開いた。
「…添い寝!?いっ…いい大丈夫!!」
「遠慮すんなよ〜」
一枚上手な瑠衣斗に、きっと私なんか太刀打ちできないと思ってしまう。
なんでこう…突然おかしな事言い出すかなあ!?
「てゆーか見られてたら寝れない!!」
「…なんで?」
「なんで…って…は、恥ずかしいし!!」
「俺は見てたいのに」
「見てた……って…え!?」
私の言葉なんかお構いなしに、急に距離を縮めた瑠衣斗に体が固まる。
ほとんど真上にある瑠衣斗の顔に、今度こそ口を開く事すらできなくなる。
「そんな意地悪言うなよ」