いちえ
来た時のように、バスでの帰り道。
すっかり茜色に染まった空を見ながら、今日の出来事が頭の中で回想されていく。
それと同時に、これからの事が頭の大半を占めていく。
宗太と龍雅は、どう反応するだろう……。
その前に、るぅのお父さんとお母さん!!どうしよ…何か怖くなってきた。
「…もも?」
「へえ…?」
「な、何…?そんな顔して…」
きっと私は今、ものすごく引きつって笑っているのだろう。
顔筋がピクピクしてるのが分かるしね。
るぅは平気なのかな。緊張とかしたりしてないのかな。
「顔…酷い?」
「面白い」
いや…面白がられてもね……。
大きな溜め息を吐いた私を、瑠衣斗が笑いながら胸の辺りへと抱き寄せる。
途端にキュッと縮んだような胸が、切なくなる。
優しく頭を撫でてくれる手が、私の強張った気持ちを、優しく解してくれるようだ。
「どうしたの?」
頭上から降ってくる甘い声く掠れたに、今度こそ胸が切なさで埋め尽くされてしまい、グッと目を瞑る。
あぁぁ…もう私ホントに重症…。
瑠衣斗の胸に、遠慮なく顔を押し付け、その感触と香りに、完全にノックアウト寸前だ。