いちえ
「残〜念〜!!龍ちゃんて本っ当に変態だね!!」
「変態!?ちっげえよ!!俺は女の子が大好きなだけだっ!!」
変態でも何でもいいけど……こんな日にそんな格好で変態とか女の子が大好きとか言わないで欲しい。
てゆーか普段話せばいいじゃん。
なんて思った所で、所かまわずだろうから言わないけど。
「はいはい。ほれ、そろそろお開きだ。主役が居ないとダメだろう?」
慶兄の一言が、何だか胸を寂しくさせる。
分かっているのに、まだずっとこうしていたかった。
「はあ〜い!!みんな…ありがとうね?」
「俺からも…ありがとうな。指輪持ってこいって言われた時は……ただお前らが見たいだけかと思ってた」
俊ちゃん…用意してたんだ。
二人の左手には、キラリと輝く指輪がしっかりとはめられている。
指輪交換ではなかったので、あらかじめ俊ちゃんはしていたのかもしれない。
こうして改めて見ると、指輪を付けた事によって結婚したんだなぁと思う。
そして、新婚さんにも見えると同時に、夫婦のようだ。
「龍雅が俊から話聞いた時、真っ先に言い出したんだぜ?」
「言うなよっ!!宗太めでしょっ!!」
え〜!?まじで〜意外〜…なんて言うように目をまん丸くした二人は、相当驚いている様子だ。
照れ隠しのように言う龍雅の様子が可笑しく、慶兄も瑠衣斗もクスクス笑っている。
暖かい気持ちが、何故か胸を切なくさせる。
みんなの笑顔が、何だか染みる。
ひとりぼっちには慣れている筈なのに……私はただひたすら思った。
みんなとまだ、ずっとこうしていたい。