いちえ
「はいはーい!!みなさーん!!これで式は終了で〜す!!」
完璧に司会者へと転身してしまった龍雅が、マイクを握って片手を大きく振る。
俊ちゃんの両親も、美春の両親も、カクテルを片手に夏希と純平に絡んでいる。
さすがプロだけあって、酔っ払いには手慣れた様子だ。
夜のディナーまでには、撤退しなくてはいけない。
残りたい人は個人で楽しんでと言う事で話を括った龍雅は、マイクを持ったまま、新郎新婦席へと移動した龍雅は、二人を立たせた。
「はーい!!二人の門出に拍手〜!!いえ〜〜い!!」
酔っているのか素なのかも、もうどうでもいいけど、そんな龍雅の言葉にみんなが声を合わせる。
いえ〜〜い!!なんて声が、会場内を震わせるような歓声だ。
美春と俊ちゃんは、そんな龍雅に押され気味な様子だった。
いえ〜いなんて言わないけども、周りとはテンションの違う私達は、それぞれ拍手をして二人に目を向けた。
宗太と慶兄は笑っていたが、瑠衣斗は呆れているような顔をしていた。
私の視線に気付いた慶兄は、フッと目を細めて私に笑いかけてくれる。
そんな慶兄に、何だか照れるようにはにかんでしまう。
いつもと雰囲気の違う慶兄に、ドキドキしてしまう。
そして、瑠衣斗には胸が痛むようだった。
こんな自分に、嫌気がさす。
幸せそうな二人を見ていると、自分はそんな二人のようにはなれないような気がしてしまう。
純白のドレスが、私には眩しい。