良と遼〜同じ名前の彼氏〜
「え?」


あたしのお箸からひじきが漫画のようにボトッと落ちた。


「マン喫の風呂せめぇぞ」


そこ!?


「あのっ…でも…」


あたしが躊躇していると遼平は、


「嫌なら別にいいぜ」


とまたビールを煽った。

あたしは迷った。
彼氏とのキスすらしたことのないあたしが、いきなり飲酒喫煙顔ピアスの、しかも昨日知り合ったばかりの男の子の家に泊まるのか?


貞操を守れないことくらい、エッチの経験のないあたしでも分かる。


「遼平……そういえばさ、遼平の親は?昨日はいなかったみたいだけど…今日も帰ってこないの?」


コンビニに行く為に外をでた時初めてしっかり部屋を見て、あたしは違和感を覚えていた。


どうやら二部屋しかないこのアパートには、家族どころか人の住んでいる気配があまりない。
< 27 / 75 >

この作品をシェア

pagetop