月に問う
『あっ、でも…。』


「返さなくてもいいので使って下さい。」




にっこり笑った美月チャンが傘を差し出したので少し戸惑いながら傘を受け取った。




『ありがとう…。』




俺の言葉にまたにっこり笑って見せる美月チャンがかわいくて、自分の顔が熱くなるのがわかった。




「美月、行くぞ〜!」


「あっ、待って!じゃあ、さようなら…。」




柊に呼ばれた美月チャンは小さく手を振って、柊が差している傘の中に入り楽しそう話をしていた。




そして、柊が美月チャンの体をそっとに自分の方に引き寄せた様子を見て、なぜか俺の胸はズキッと痛んだ。




なんか、わかんねぇけどさっきから胸が締め付けられるように苦しい…




なんなんだ…、この気持ちは…




こんな事、今までなかったのに…




この時の俺には、この気持ちがなんなのか、まだわかっていなかった。




そして、しばらく美月チャンと柊の後ろ姿を見つめていた。




その後、頭の中は美月チャンの事でいっぱいで、どのように慧心の家まで行ったのか覚えていない。


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