月に問う
「ごめんなさい!さっき友達が…。」




目の前で美月チャンは深々と頭を下げた。




そして、顔を上げると眼鏡の奥の涙で潤んだ瞳で俺をまっすぐ見つめた。




さっきの話は全て真実であって、美月チャンが悪いわけじゃねぇから謝らないでほしい…




すげぇ、辛くなるから…




美月チャンを諦められなくなるから…




だから、謝らないでほしい…




そんな思いを素直に言えるわけもなく、本当の気持ちを押し殺し、顔を逸らし冷たく言い放った。




『あの話、事実だから…。俺って適当な奴だからさっ。だから、関わらない方がいいよ。』




ベンチから立ち上がり、美月チャンの顔を見ず横を通り過ぎようとした時、美月チャンの頬に何か光るものが微かに見えた。




「私…、前から噂の事知ってたの…。でも、ホントは優しい人だって知ってるよ…。」




その言葉に一瞬心も体も凍りつき、頭の中が真っ白になってしまった。




思考回路が復活した今の俺の顔はきっと情けない顔をしている。




知ってた…んだ?




なんだっ、隠しても無駄な事だったんだな…




ハハッ…俺ってバカじゃん!


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