月に問う
「それだけ伝えたくて…」



そう言うと美月チャンは鞄を抱きしめ俯きながら俺の横を素通りし、公園の出口に向かって走り出した。




その姿を見て自然に足が動き出し、美月チャンを追いかけていた。




なんでか解らないけど追いかけなければならないと思ったんだ。




『待てよ!』




美月チャンの腕を掴み、引き止めると…




「放して…。」




美月チャンは振り返らず、頬から流れ落ちる涙が光って見えた。




『なんで泣いてんだよ?』


「やだっ、放して!」




美月チャンは掴まれた腕をもがき解こうとするが、さすがに男の力に女の力は勝てるはずがない。




何をされようが美月チャンの腕は放さない。




もし放してしまったら、もう二度と美月チャンに会えなくなってしまうような気がしたんだ。




美月チャンは諦めるとゆっくりと振り返り、向き合うように立ち俺を見上げた。




離れて街灯は点いているが暗くて、はっきり美月チャンの顔が見えない。




それでも、美月チャンを見つめ返していると…




さっきまで雲の影に隠れていた月が顔を出し、美月チャンの涙で濡れた顔をはっきりと照らし出した。




泣き顔を見たらなんでか、すげぇ切なくて胸が苦しくなった。


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