空色パステル
―それぞれの道
涙と笑顔でぐしょぐしょになりながら、家に帰ってきた。
いつもの通り家には誰もいない。
静まり返る部屋の中。
窓はカーテンが開いたままで外の光が部屋に少し入り込んでいる。
その光は外の雪に反射していてキラキラの光。
ふと、テーブルに目をやると、テーブルの上に置き手紙があった。
携帯があるんだからメールでいいのに、といつも思う。
内容は
『遅くなるので先に食べていてください』。
いつものこと。
それに最近はずっと残業で帰ってくるのが遅くてもう慣れてしまった。
キッチンに向かい、冷蔵庫を開ける。
食材を取り出して料理を作り始める。
そんなこんなで玄関のドアが開く音がした。
「「たっだいまーっ!!」」
その音と共に奏斗と陽菜の元気な声が響いた。
「お姉、陽菜つれてかえってきたよ~」
奏斗が言う。
その手は陽菜の手がしっかりと握られていた。
「奏斗~、えらいね♪」
「えへへ★
でも帰り道、雪で遊んできたあ♪」
なんだよ…
だから遅かったのか、
1人で納得。
でも今日の奏斗は偉いから言わないことにした。
「ねえねえ、お姉ちゃん
お母さん今日はいつ帰ってくるの~?」
陽菜がくりくりした大きな瞳を輝かせながら訊ねる。
「いつだろうね?
お姉ちゃんもわかんないよ★」
無理に笑顔を作って言う。
陽菜はなんとなく了承。
でも、見た感じまだ理解していないよう。
仕方ないから置いておく(笑)。
「奏斗と陽菜、服着替えてきなさい?」
お母さんの受け売りで言ってみる。
奏斗は小学校1年生。
陽菜は保育園。
だから、着替えないと制服が汚れてしまう。
ただでさえ、クリーニングなんか行く暇ないのに…。
料理を作り終え、テーブルに並べる。
RRRR…
すると、あたしの携帯が鳴り出した。