せんせいは15才

あたたかい胸の中で、彼は泣いていた。



両親が他界して、施設に入って、今一人で生活して・・



孤独じゃないといったら嘘になる。


孤独に、目をむけないようにしていたのが正解だった。



でも----------


この一ヶ月で、彼は<孤独>に目を向けなければならなくなった。



かずいを通じて---------。



かずいと居るときの自分は、孤独ではなかった。



逆に、家での自分はいつも一人ぼっちで、



そのギャップに、孤独感を感じずには居られなかったのだ。




「ごめんなさい」



「どうして、謝るの?」



「あたし、嬉しかった。黒崎が、そうやって


頼ってくれて。


黒崎も、人間だもんね。


つらいこと、あるよね。


あたし、役にたてたかなあ・・」



黒崎は、元の体制にもどって、かずいの顔を見た。



かずいが、このテストに自分の転入もかかっている、と
知ったら怒るだろう・・


だってそれは、かずいを<利用>しているのと
同じではないか・・



だから理事長には、絶対にかずいにはそれを言わないでくれと
念を押していた。


言うときは・・自分で言おう。


彼はそう決めていた。

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