幸せ色の贈り物
「大丈夫?」
その声に振り返ると、そこには1人の女の人が立っていた。
「松野…さん……?」
驚きで目を大きく見開いたあたしに、彼女はクスッと小さく笑い近づいてきた。
「違うよ。あたしはエレナ。よろしくね?」
そう言って、今度は優しく微笑んだ。
慌てて軽く頭を下げながら、あたしは彼女をじっと見つめてみる。
確かに。
よく見たら、松野さんとはちょっと違うみたい。
スラッと高い身長に、整ったきれいな顔立ち。
きれいに染まった真っ茶な髪は、緩く丁寧に捲かれている。
松野さんは、背は高くてきれいだしすっごく美人だけど、髪は黒だし捲いてない。
それに、松野さんは今頃きっと勉強だし…
そんな風に一人ぼーっと考え込んでいると、彼女ははっとしたようにしゃべりだした。
「あっ、あたし、急いでるんだった!あ、ねぇ。アドだけ教えて。せっかく出会えたんだし、仲良くしよう。」
にこっと無邪気に笑うその笑顔に流されて、あたしは携帯を取り出した。
赤外線でアドレスを送ると、彼女は慌てて走っていった。
それが、あたしとエレナの出会いだった。