梟~幼少編~

夜の襲撃

風呂から上がると居間の部屋の明かりがついていた。
梟悦はひょっこりと顔をのぞかせた。そこには羽陽が何やら箪笥から出していた。

「羽陽姉さん」
「あら、梟悦。お風呂上がったの?」
「うん。何してるの?」
「これ」

そう言うと羽陽は梟悦の体に合わせるように何かをくっ付けてきた。

「これ、兄さんのお下がりだけど…。あなた持ってきた服少なかったから、これ着る?」

翼飛のお下がりと言う服は、どこも汚れてない新品同様の物が4枚あった。

「いいの?」
「着るか着ないかはあなた次第よ」
「ありがとう」

そう言って梟悦は服を持って翼飛の部屋へと向かった。
3枚の服で着まわしていた梟悦にとってお下がりでも何でも服が増えることはうれしかった。威白に買ってと言おうとも仕事で留守が多かったため言えなかった。

「お、梟悦上がったな。ん?それは?」
「羽陽姉さんがくれるって」
「俺の服か。懐かしいな~。これなんか2回ぐらいしか着てないんだぞ」

翼飛は梟悦の持っていた一番上の服を持ちあげた。

「俺は成長が早かったからな。ま、大事に着ろよ。あ、先寝てていいぞ」

翼飛は片手を挙げて部屋を後にした。
梟悦は服をもらったことがうれしくてずっと眺めていた。
< 23 / 70 >

この作品をシェア

pagetop