【番外編集】オレンジ色の奇跡

「おい、梨海」

「…………」

「はぁー。ふざけんのもいい加減にしろ」

「……だって」

「なんだよ」

「……なんでもない」

 言ったところで、何も変わらない。

 あたしのワガママに耕太を困らせたくないし、あたしが、我慢すればいいこと。

 今までみたいに我慢してれば、耕太の傍にいられるの。

「泣いてたくせになんでもない、か」

「泣いてないもん」

 膝を抱えながら額をつける。

「どうせ、するんでしょ?なら、はやく家帰ってヤればいいじゃない」

「は?誰がお前とヤるって言ったんだよ」

「耕太」

「俺は、家に泊まれって言っただけ。何、勘違いしてんだよ」

 だんだんと声が大きくなるな、なんて思っていると、大きな手があたしの頬に触れた。

「―――っ?」

「あ、激しいのがお望み?ベッドに拘束してやろうか?」

「こ、耕太のばかぁーっ!!!」

 耕太の手を払いながら起き上がり叫ぶと、口角を少しだけ上げた。

< 16 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop