【番外編集】オレンジ色の奇跡
「俺様のことを馬鹿だなんて言う口はこれか?」
あたしの両頬をつねる耕太は、心底楽しそうな顔をしている。
「バカ!バカ!バカーっ!」
「調子こくな」
「だって、だってーっ!」
「なんでもない、って言ったらこの場で犯す」
ポロポロと零れる涙を拭いもせずぬ俯いた。
会いたかった。
寂しかった。
不安だった。
ミワコちゃんって誰?
言いたいことなんてたくさんある。でも、言ってしまったら呆れられちゃいそうなんだもの。
「はぁー。今度は、黙りかよ。てめえ、拷問してやろうか?」
「………」
「とりあえず、助手席に行け。後ろで泣かれても困る」
静かに頷き、狭い車内を移動し助手席まできた。
運転席に座る耕太に目を遣ったあと、フロントガラスを通して交差点を行きかう車を眺める。
「……ミワコちゃんって誰?」
知らぬまに自然と出てきた言葉は、なんだか耕太を疑っているようなものだった。