妹の恋人は姉の彼氏の従弟

頼れる人

「若いっていいなぁ」

聞きなれた声に
私は驚いた

慌てて涙を制服の袖でふくと
顔を上げた

「か…とう…せんせい」

ジャージ姿の加藤先生が
コンクリートの地べたに座っていた

ズボンの裾を払いながら立ち上がると



優しく微笑んで
ゆっくりと両手を広げてくれた


私は首を横に振った


つらいから
悲しいからって

頼ってはいけない



加藤先生の気持ちを利用するなんて
できない


「おいで」

加藤先生が頷いた


私はまた
首を左右に振った




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