妹の恋人は姉の彼氏の従弟
私は下を向いた

この場から走り去ってしまったほうが
いいのはわかっている

でも足が動かない

先生には頼れない


頼っちゃいけない


黄色いシグナルが
頭の中で点滅してる

はやくここから
離れろと
脳内では知らせている

たけど
足は…

体は



先生に甘えたいと訴えていた






「頑張り屋さんだな」




動かない私に
加藤先生が近づいて抱きしめてくれた


温かいぬくもりが
私を包み込んでくれた

「せ……んせい」

「なんだ?」

「駄目だよ」

「泣きたいんだろ?
泣いていいよ」

先生が私の頭を撫でた

何かがぷつんと
切れた気がした

先生の腕にしがみつくと
私は大声で泣き始めた

先生は何も言わずに
私が落ち着くまで
ずっと付き合ってくれた
< 120 / 133 >

この作品をシェア

pagetop