妹の恋人は姉の彼氏の従弟
「ごめん、先生
ジャージに鼻水がついた」

私は先生から離れると
鼻声で言った

先生は下を向いて
ジャージを見た

涙と鼻水で染みができていた

「いいよ
脱げば、わからない」

「優しいね」

先生はほほ笑んで
私の頭をポンポンと叩いた

「次の授業には出ろよ」

加藤先生は私から離れて
歩き始めた

「先生、私……海堂と別れた」

私は先生の背中に向って
言葉を投げた

先生は足を止めると
「それって俺に可能性があるってこと?」
と、背を向けたまま質問してきた


「わからない」

「だろうね
一人がつらいなら、携帯に連絡してこい」

「わかった」

先生は振り向かないまま
片手をあげると
屋上を出て行った

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