妹の恋人は姉の彼氏の従弟
「風邪?」

「は?」

私は低い声に
振り返ると
大男が真後ろに立っていた

「海堂くぅん、待ってよ」

あまったるぅい声が
海堂彰吾の後ろから聞こえてきた

「ひいたの?」

「ひいた?」

「鼻水」

「はい?」

「出てる」

制服のポケットからティッシュを
出した海堂彰吾が
私の鼻の下を拭きとった

「だから言ったのに」

「何を?」

「風呂に入らないとダメだって」

「シャワーでじゅうぶ…わっくしょん」

私の唾液たちが
海堂彰吾の制服にひっついた

「あ…ごめん」

私は制服の袖で
拭こうとすると
海堂彰吾が
私の手首をつかんだ

「平気
それより鼻水」

海堂彰吾はまた…
ティッシュで私の鼻を拭いた

「これ、あげるから」

海堂彰吾はポケットティッシュを
私に託すと廊下を歩きだした

海堂の後ろには
女子が少なくとも10人はいたと思う

全員が私を睨んでいく

< 37 / 133 >

この作品をシェア

pagetop