青春ing
 小テストを二つも終えて、帰宅する竜泉君を見送ってから、意気揚々と部活に出陣。そんな矢先、後ろから誰かに呼ばれた。

 女の子じゃない、低めの声。何度も話したことがあるから、それだけで、相手が誰だか分かった。



「……ちょっと高須賀、あたしこれから部活なんだけど。あんたもなんじゃないの?」



 ユニフォーム姿の高須賀に言えば、一瞬ためらうようなそぶりを見せる。大事な話なら尚更、こんな時じゃなくて、違う日に時間を割けば良いのに。そう思いながらも、とりあえず、奴の話を聞くことにした。



「ま、良いや。何なの、話あるんでしょ?」

「……お前、1年と付き合いだしたってマジかよ。」

「うん、そうだけど。」

「何で?自分より強い奴とか、男らしい奴がタイプだって言ってたじゃん。あいつ、全然違うだろ。」



 ――何かと思えば、人の彼氏の悪口かい。それもわざわざ、いざ投球だって時に。みんなにだって迷惑かけてんのに、分かんないかなぁ。



「……良くないよ、そういうこと言うの。高須賀がそんな人だとは思わなかった。」

「いや、違うんだよ!」

「人の悪口言うのに、違うも何もないよ。しかも、あたしが投げないとソフト部が活動できないの。悪いけど、この話は……」

「好きなんだよ!」

「……え?」

「山沖のことが好きだから……好きな奴が、他の男に取られたんだぞ?悪口の一つだって言いたくもなるっつーの!」
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