【実話】ありがとう…。
たかさんが亡くなったあの日、沢山慰めてくれたのに、恩返しも出来なくて―‐。


朱羅―。


今、何処で暮らしてるの?


もしかして…もうこの世には居ない…?


朱羅、貴方の大好きなたかさんに抱かれ、幸せな時間(とき)を過ごして居るのかな?





ドンドン荷物が運び出され、二人で過ごしたあの部屋も、次第に荷物が無くなった―‐。



何も無くなった部屋に一人立ち、思い出す―‐…。


笑いあった事。

大喧嘩して泣いた事。

ミホとの写真を見つけ涙したあの日。


全てが無くなった気がした…。



荷物を車に運んでいる時、いきなり後ろから布団で秀兄にどつかれる。


「うりゃあ」

振り向いた瞬間―‐。

秀兄がたかさんに見えた…。


「………」



「どうした?怒ったのか?」

と顔を覗き込む秀兄。


「ううん…秀兄が…たかさんに見えたから…」


秀兄は笑って、頭に手を置き、

「兄弟だからな」

って。



次に住む家へ荷物を運び、少しずつ片付ける。


ある程度、荷物も片付け終わり、お母さんがたかさんの着ていた服等、沢山くれ、家に帰って来た。


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