【実話】ありがとう…。
それから数日後。


たかさんの夢を見た。


何処かは分からないけど、たかさんが仏壇の前に立っていて、自分の遺影を眺めている―。


「たかさん、自分が亡くなったの知ってる…?」



「うん、知ってる」



「何でここに居るの?」



「分かんない…」



「苦しくなかった?」


「今は、苦しくない」

と優しく笑った。


「良かった…。たかさんは、今、何処に居るの?」



「空の上に居る。空から全部見てる。望が泣いてる事も…。見てらんなくて、様子を見に来たんだ」



「たかさんと一緒に逝きたい」



「連れて逝けない。分かるだろ?お前はまだ生きなきゃいけない。だから…連れては逝けない…。ごめんな、一緒に居てやれなくて」

悲しい顔をして、ゆっくりと歩いて行く。


「嫌だ!行かないでよ!!もう独りは嫌だよ!お願い―‐」

たかさんに追い付こうと、泣き叫び必死に走っているのに、距離はどんどん離れて、見えなくなってしまう。


自分の声で目が覚める。


枕は涙でグショグショに濡れていた。


次々に涙が零れる。


声を出して泣いた―‐。


「どうして…?又、置いて行くの…」


< 124 / 168 >

この作品をシェア

pagetop