【実話】ありがとう…。
「たかさんが…。たかさんが…。ねぇ、美子どうしよう…助けてよ…うっ…ッ…グスッ」



「望さん、落ち着いて!!たかさんがどうしたの?」



「癌だって……」

ボロボロと溢れ落ちる涙。


「えっ?」

美子も言葉を失う―。


「ずっと…ッ…体調悪くて…グスッ…病院行ってって…言ったのに…。グスッ…病院行ったら…うっ…グスッ…癌だって…。明日…手術するって。たかさん…死んじゃうの?グスッ…ねぇ…助けてよ…ねぇ…」

そう言い私は意識を手離した―‐。





暫くして、

「んっ…」

目を開けると、

「目覚めた?気分はどう?」

と美子が優しく微笑んだ。


「私…」



「気を失ったの」

と点滴を見ながら、調節をしている。


「これ終わったら、帰って良いって」



「でも…まだ仕事が」



美子が時計の方に目をやり、

「勤務時間、終わってるよ!家に帰ってゆっくり体休めなよ。ね?」



「うん…ありがとう」



「終わったら、Nsコール押してね!」

と言って、病室を出て行った。



10分程すると、点滴も終わり、Nsコールを押す。


「はーい。只今伺います」


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