【実話】ありがとう…。
からって。だから、大丈夫だよ」

私が笑って言うと、少し躊躇ったように、口を開いた。


「望…お前…」



「嫌いで離れた訳じゃない。離れて…後悔したの。こんな事になるなら、離れるんじゃなかった!」



「そっか…」

そう言ったたかさんは、凄く切なそうな顔だった。


時計を見ると、午後5時を過ぎている。


「たかさん私、そろそろ帰るね…」



「おう、気を付けてな!」



「うん、また・ね」


病室を出て、家路を急ぐ。


入院した日から、仕事帰りか仕事に行く前、どちらかに必ず病院へ顔を出した。






11月12日。

今日は仕事が休みで、朝からたかさんの病院へ顔を出す。


「おはよう」



「おう」



「どう?傷の方は」



「う~ん、少しは良くなったかな。歩くのも少しマシになってきたし。痛みは相変わらずだ。微熱も続いてるしな」



「中々、熱下がらないね」



「まぁな」

話をしていると、

「回診でーす」

と看護師が入って来る。


椅子から立ち上がり、

「じゃ、煙草でも吸って来るね」



「あぁ」


回診も終わり、病室へ戻ると、物凄く不機嫌なたかさん。


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