【実話】ありがとう…。
「何かあったの?」



「転院だってさ!!」



「えっ?」



「思った以上に悪いから、他に回すんだろっ」

吐き捨てる様に言い、天井を睨みつけた―。

少しすると、布団を被り、肩を震わせて泣いている。


「うっ…グスッ…」


泣いているたかさんを、私は励ます事も何も出来ず、傍に居るしか無かった。


たかさん…ごめんね。

何も出来なくて、ごめんなさい…。


後から来たお母さんも、転院の話を聞き、頭を抱えていた。


「はぁ~。今でさえ仕事があるから、あんまり来てやれないのに、札幌に転院したら、もっと行けなくなる。たかだって、色々我慢してるだろうし。口には出さないけど、不安だと思うんだ。参ったなぁ」



「お母さん…」


今日は、転院の話とか色々二人でしたいだろうし。


「たかさん私、帰るね。またね!」

そう言い、帰って来た。



夜になり、家の電話が鳴る。


「もしもし」



「俺…」



「たかさん…何かあった?」



「今日は、悪かったな」

言いにくそうに話す。

「気にしてないよ」



「さっき、先生と話したんだ。肺にあっちこっち転移してて、数が多いしお腹と喉も腫れてるんだ。


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