落日


香織や理恵子たちが、幼馴染だと信じて疑わなかった誠司と、実のところ結婚の約束をしていること。

それなのに、私が聡に魅かれ始めていること。

すべてを正直に、私は香織に話すことにした。


「……別にいいんじゃないの? 人の気持ちなんて変わるものでしょ?」


話をすべて聞き終えた香織は、あっけらかんとして即答する。

そんな香織を見て、妙に納得してしまう。


誠司との付き合いは、たしか小学生の頃から。

そのあいだ、私にとっての男は誠司だけだった。

はじめてのキスも、はじめて抱かれたのも、すべてが誠司だけ。


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