落日
こんなに近くに住んでいたなんて。
偶然というものは、逆に恐ろしささえ感じてしまう。
「……どうぞ」
迎えられた部屋は、一人で住むにはあまりにも広すぎる間取り。
マンションの趣もそうだったけれど、きっとここは『高級』という名がついてもおかしくないくらいだ。
リビングだけで二十畳ちかくはあるだろうか。
壁を覆うようにして構えてある、映画館のスクリーンのような大画面のテレビ。
ソファにしても調度品にしても、どれをとっても一流の高級品であるのは確かだった。
「どうした?」
「あっ……、ううん。すごい部屋だなって思って」
「そうかな」