落日
冷めた視線でリビングをぐるりと見渡す聡。
その表情は、新たに見つけた聡の違う一面だった。
自慢するわけでも謙遜するわけでもない。ただ、冷め切った目で見つめている。
なんて悪趣味な部屋だ、という嫌悪感さえも感じた。
「コーヒーと紅茶、どっちがいい?」
訊かれて、私は少し迷ったあとに紅茶を頼んだ。
些細な飲み物の選択だけど、コーヒーを頼めば、きっと私は誠司のことを思い出してしまうに違いない。
聡が淹れてくれた紅茶をひとくち飲んだあと、私はふと、あることを思い出した。
「ねぇ、渡したいものがあるって言っていたけど……」
「あぁ、そうだった。ちょっと待ってて」