ロ包 ロ孝 3
「きや兄ぃ上手なんだよ?」



 綾乃は嬉々として縛られた腕を見せる。



「有り難うございます。しかし綾乃。喜八様とは身分が違うのだとあれ程……」

「まあ良いではないか。幼き頃より同じ里に育ったのだから、きや兄ぃで」



 梅は眉根を寄せて言う。



「喜八様がいつまでも綾乃を甘やかしておられるからですぞ?」

「そんな事より姉様、みなは? みなは無事か?」

「ああ心配ない。義爺(ヨシジイ)が切り付けられたが鎖かたびらの上からじゃった。

 ……伍作どんに甚平どんか。許せ」



 ドスッ ドスッ



 梅は足元に横たわっている、昨日迄は同胞だった二人のみぞおちを蹴り上げ、沈黙させた。



「しかし綾乃! こんな所にぐずぐずしていたらこやつ等の思うつぼではないかっ。

 話は後じゃ、さあ喜八様もこちらへ! フゥゥゥゥウ」



 梅は三倍力の【者】を使って走って行く。積もり始めた枯れ葉がその後を着いて行くかのように舞い上がり、はらはらと地面に落ちた。



「綾乃。遅れるな? フゥゥゥゥウ」

「あい、きや兄ぃ。フゥゥゥゥウ」



  スササササササッ



 二人も【者】を使って梅の後を追った。


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