シィ君のサンタクロース
「うん……やっぱまずいかな?」


シィ君の言おうとしている意味は理解できる。


うちの親に気を遣ってるんだと思う。


今回の旅行は、シィ君のお兄さんも一緒だから許してくれたわけで……。


二人っきりで泊まるなら、許してもらえなかったはず。


きっとシィ君もわたしと同じことを考えてる。


もしも帰って、親から「どうだった?」って聞かれても、

わたしは二人っきりで過ごしたことは言えないと思う。


ウソをつくか、ごまかしてしまうんだ。


こういうのって……親を裏切るようなことになっちゃうのかなぁ……。



いつまでも返事をしないでいるわたしの顔をシィ君が覗き込んだ。


「どうする? 気になるんやったら、もう帰ってもいいで」


「え……」


< 19 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop