幻妖奇譚
「…………」

 ……思考がついていかない。マジで惚れてた?信じて良いの?でも……それも嘘だったら?嘘だったら……!!

 ――どうすれば良いの?馬鹿みたいに信じて、また騙されてたら……?

「……怖い……わかんない。わかんないよ……ッ!!」

 時間だけが過ぎて行く――。







 ガチャッ

 玄関のドアが開く音で我に返る。

「沙希。こんな所で何してるんだ?」

「……パパ」

 時計を見ると19時近かった。いつの間にこんな時間……。

「沙希、これお前の鞄だろう? ドアノブに掛かってたぞ?」

「…………」

 中原くんが届けてくれたのかな……。鞄の中に生徒手帳を破ったメモがあった。――“また来るから”。

「何か……あったのか? 沙希?」

「……ッ何でもないよ? 鞄忘れるなんて馬鹿だよねぇ」

 笑いが引きつる。きっとパパには作り笑いを見透かされてる。

「着替えて来るね……」

 パパにそう言い、自分の部屋に向かい、部屋着に着替える。

 溜め息を吐き、先程の留守電を頭の中で反芻させる。

「留守電……留守電? …………ダメッ!!」

 パパは帰るとすぐに留守電をチェックする。急いで部屋を飛び出し、リビングへ向かう!





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