幻妖奇譚
 リビングに駆け込むと、パパがソファに座って丁度中原くんの留守電を聞いていた。

「パッ……パパ! こッ、これイタ電だからッ!!」

 焦れば焦る程余計に怪しい。

「ふうん……なかなか、情熱的なイタズラ電話だね」

 うう。やっぱりパパは誤魔化されてはくれない……。

「ゲームって何の事だい? あとダーツで適当に決めた、とも言っていたね?」

「そ、それは……」

 昼間の出来事がリアルに蘇る――。

 ズキン

 あ。痛い……心臓がすごく痛い。

「…………」

「沙希?」

 ……ダメ。今、一言でも喋ったらまた泣いてしまう――。

「……学校で何かあったのか? イジメられでもしたのか?」

 パパの言葉にふるふる、と頭を横に振って否定するのが精一杯で、そのまま声を押し殺し泣き崩れる。

「沙希……。辛いんだな。我慢することはないよ」

 ソファから立ち上がったパパが、あたしの頭をぽんぽん、と幼子をあやすように撫でる。

「そんなに辛いなら……」







「また殺せば良いじゃないか。――あの少女達のように……」

「…………え?」



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