プレゼント(Intron crack企画)
少し風が出てきたみたいだ。

「寒くない?」

「この格好だぜ、ある意味冬のロングセラーだろ」

俺は両手を広げ得意げに笑ってみせた。

次の電車まで30分近くある駅前は、あっという間に閑散としている。

親子を乗せたタクシーが目の前を通り過ぎた。

顔を窓にくっつけるようにして少女が俺に手を振る。

同じ仕草を返す俺を見て、彼女が後ろを振り返った。

少し茶色がかったロングヘアーがふわっとなびく。



俺の好きな甘い香り。

童顔な彼女がせいいっぱい大人びる様子が愛らしくて、少しエレガントなその香りが俺は大好きだった。







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