プレゼント(Intron crack企画)
「やったー! サンタさんやっぱり凄い!」

「……よかったわね」

母親が困ったように言いながら、声の主と俺を交互に見た。

「さ、帰ってハッピバースディしようね。落としちゃダメよ」

腰を屈めながら彼女が言った。

白いコートが揺れる。

肩から粉雪が舞い落ちた。

嬉しさのあまりか、スキップしながら歩く少女を押さえながら母親は、俺達に軽く頭を下げタクシー乗り場へ向かった。



「いつから見てたんだ?」

眉間にシワを寄せ、笑っちゃうぐらい真剣な表情で箱をタクシーに持ち込む少女を右目で見ながら俺は話した。


「ずーっと」

黒のキャスケットに付けられた銀色の十字架がキラキラと光る。



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