鈴が鳴る~イブの贈り物~
イブの贈り物
「かっこわりーなぁ。これ、どうしよう」

 さとるはトナカイのヌイグルミを強く胸に押しつけて呟いた。

「ばかみてぇ」

 いい年の男がこんな格好して浮かれてこのザマか。

「帰ろう」

 さとるは重い体を引き摺りながら、エレベーターに向かおうとした。

 その時、エレベーターの扉が開き、スカートをはいた二十代ぐらいの女が降りて来た。

 大きな目を真っ赤に腫らし、薄い唇を歪ませ、鼻を鳴らしふらついている。

 ずいぶん酔っているようだ。

 しかも、良い酔い方では無さそうだ。

 ヴィトンのバッグを上下左右に激しく揺らしながら、さとるの方に近づいて来る。
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