鈴が鳴る~イブの贈り物~
ふたりぼっち
 さとるは溜息を吐いて目を拭った。

 女が笑って呟いた。

「あたしの部屋で傷の舐め合いでもしませんか? もちろん変な事とはしないで。ストーカーになるのもやめてください。そんなことしそうにないけど、人は見かけによらないし。もしそんなことをしたら警察を呼びます。父は、警察官で幹部です。大声だって出します。ちなみにあたしは空手三段です。合気道もやってます。あなたを半殺しにする自信もあります。躊躇なんてしません。このまえ痴漢を撃退しました。もう少しで過剰防衛って事で訴えられるところでした。本当です。証拠を見せます。こんなものも持ってます」   
 さとるは女がバックからスタンガンを取り出すのを見た。

 弾けるような音を放ちながら、青白い電流が走る。

「どうですか?」

 変な事しないでと言いながら、その誘い自体、変では無いか。

 酒の勢いもあるのかもしれない。

 さとるとしては、男だから別に構わないが相手は女だ。誘って来ているのも女。

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