鈴が鳴る~イブの贈り物~
「まるで機械みたい」 

 さとるは香奈子の言葉を再び思い出した。

 どうしてそんな事を言われるのか良く分からなかったが、香奈子には、そう表現したくなる人間に見えていたのだろう。

 誤解だと、さとるは思う。

 自分はまともな感情を持った人間で、機械のように冷たい人間では無い。

 香奈子に対する気持ちも本気だった。

 絶対に手放したくないと、世界で一番大事な人間だと、本気で思っていた。

 記念日のプレゼントを買わなかったのは、物で自分の愛情を示したくないという気持ちからだ。

 その説明に、香奈子も渋々ながらうなずいたではないか。

 それともあの事か。

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