鈴が鳴る~イブの贈り物~
 考えてみると、ただ一つの事が決定打になったとは思えない。

 一つ一つが重なり、香奈子の気持ちは冷めていったのだ。

 恋人なら我慢出来ることもあるが、結婚して、ずっと一緒に生活するとなると話は別だと、香奈子は判断したのだろう。

「君を愛してないって。そんなことない。そんなことないよ。僕は君の事を大事に想っている。もちろん人間が嫌いな訳でもない。困っている人がいれば助けたいと心から思う。本当なんだ」

「うそつき。あなたの目は誰も見ていない。自分しか見ていない」
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