短い恋、大きな愛
『失礼します。』
客間の襖を開けて、中に入り、父親の横に座った。
『遅れてすみません』
礼儀正しくしなければ…
向かいには、赤色の派手な着物を着た九条五月。おそらく、隣は両親だろう。
『お久しぶりです。秀長様』
九条五月がにこやかに挨拶した。
赤い口紅が気持ち悪く動いた感じがした。
『2人でお話したいこともあるでしょう。』
そう言って、親たちは出て行った。
『九条…俺さ、結婚とかするきないから。』
さっさと断ろう…
『それはどうしてですか?』
赤い唇がわなわなと震えている。
怒っているのだろうか…?
『単純に君が嫌いだから。』
『…』
一瞬、驚いた顔をしたが、すぐ傷ついた顔をした。
『わかった?』
『はい…でも、もう破棄とか出来ませんよ?』
勝ち誇った声の感じだった。