Dear My Snow -過去編-【短編】

やっとのことでそう言うとようやく止まって振り返ってくれる。

「…どうして、私なんですか。どうせなら他の人に…」

この分だとどこかへ食事に付き合わされるとかそんなところだろうが、そんな気分ではない。

まだ違う人と過ごしたいとは思えない。

そもそも、クリスマスとはいえ、部長のためなら予定を空ける人はいくらでもいるはずだ。

受付の秋元さんとか、秘書課の池上さんとか、会社で一、二を争う美女たちがこの部長に夢中なのは誰でも知っている。

それを、どうして私なんかと…

「俺は、宮城を誘ってるんだけど」

「いえ、だから…」

「こんな日に、好きな人と過ごしたいと思ったらいけない?」

「だから何で私……、…………え?」

今、なんて…

「宮城が好きだ。だから、一緒に過ごして欲しい。」

まただ。

まっすぐに見つめられて心臓が跳ねる。

だめ。捕まってしまう――……

「宮城、……ゆき、好きだ」

ぎゅっと抱きしめられて、耳元で囁かれる。



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