聖夜(クリスマス)の奇跡

会社を出ると、街は美しいイルミネーションで煌めいていた。


駅までの道のり、何組もの幸せそうな恋人たちに遭遇した。


肩と肩とを寄せ合い、至近距離で見つめ合うカップル。


手を繋ぎ、途切れることない会話。


誰もが心を躍らせるロマンチックな雰囲気が、やたらと淋しさを募らせる。


「…さ、寒いっ」

 
鼻を啜り、真っ白なコートに身を縮めた私は、ストールをギュッと巻き直した。 


駅の改札口へ向かう足を引き返し、駅前にあるデパ地下に吸い込まれるように入って行った。 

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