聖夜(クリスマス)の奇跡
人・人・人……。
店内は、熱気や息苦しさを感じるほどに人で溢れかえっていた。
ひととおりお惣菜を購入し、ショーケースの前に群がる人の列に加わった。
「お待たせしました。お決まりですか?」
「はい」
小さく頷くと、ショーケースの中を指差した。
「ひとつ下さい」とは言えず、ふたつ買った小心者の私。
定番の莓のショートケーキに濃厚なチョコレートのザッハトルテ。
「ありがとうございました」
小さな箱を手にし、我ながらそんな自分が可笑しかった。