残酷天使のララバイ~The last love songs~
 




「……そうか。
 坊主は、ハッカーだったのか」

 デッキへと続く艦内の廊下で。

 人目がなくなると、ルシィは、ぼそっとつぶやくように言った。

「……しかし。
 ここに送られてくるヤツは、相当重い罪に問われているものばかりだ。
 お前は、一体どこに潜り込んで、何をやらかしたんだ?」

 買収には、応じないと言いながら、話かけては来る。

 その態度にちょっと引っかかりはあるけれど、ま、さっきの刑務官よりだいぶましか。

 いつまでも、僕の答えを待っているような、いごこち悪い沈黙に。

 僕は、ため息を一つついて、答えた。

「……僕の罪は、別にハッキングじゃない」

 最近バージョン・アップしたばかりの新型でやったやつも含めて。

 ハッキングはダミー以外一つもバレてない。

 なにしろ、僕は。

 本当に、腕の良いハッカーだから。



 ふふんって。



 誇れることなのに。

 鼻で笑う声が、元気ないのが自分でもわかる。

『罪』の話題をフられると、どん底に落ち込むんだ。
 
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