残酷天使のララバイ~The last love songs~
「おい、ルシィ!
 丁度良い。
 疲れているだろうが、コイツに手錠をして5番デッキに連れ出してやってくれ。
 ……で、お前も見張り方々、30分休憩してくるといい。
 手錠さえしておけば。
 ハイスコアで宇宙人たちをなぎ倒すサファイア様も、ただの非力なガキだからな」

 先輩らしい、最初の腹立つ刑務官に。

 帽子をちょっと触ってあいさつをした『ルシィ』と呼ばれた男の刑務官は、無表情、無言で頷いた。

 そして、慣れた手つきで、僕の両手首に手錠をつける。

 その作業を見守って最初の刑務官は、肉食獣みたいに笑った。

「それでは、しばらく休憩をどうぞ。
 ジュエル・ナイツのサー・サファイア閣下。
 お供につけた、そいつを抱き込んで、逃げる算段は、考えない方がいいですよ?
 我々は、お前たち犯罪者からのどんな買収にも応じないし、同情もしない。
 そいつに限らず。
 犯罪者で。
 毎回、ハイスコアをかっさらっていく、くそチビのお前の味方になってくれるヤツは。
 そこにいる、デクノボウのオパールぐらいだ」

 僕は、ココロの中で拳を握る。

 耳障りな声で、ゲラゲラと笑う刑務官の声を聞きながら。






 
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