うさぴょん号発進せよ
「これを見てほしいでち」

船長が指を差した大型モニターを見ると、いつの間にか別の画面が表示されていた。

黒く鈍い光を帯びた、少し太めの棒状のようなものが、5〜6本ほど映し出されている。

画面越しにでも分かるくらいの堅そうな地面に、まるで突き刺さっているかのようだ。

「これは、小型無人探査用ロボからの映像でち。ここにある鉱物を回収してきてほしいんでち」

「この棒みたいなヤツを、か?」

「そうでち。わたちも社長から詳しいことは聞かされてないんでちけど、なんでも希少価値のある鉱物らしいでち。で、社長は早くこれを手に入れたいらしいんでち」

「でも何でウチの船なんだ?輸送船とはいえ、今は上からの命令で、船を動かせないんじゃなかったのか?」

「確かに、社長からの命令でトヲルを拘束していることもあって、船を動かすこともできなかったでちけど」

(この船って、輸送船だったのか)

ここで初めてトヲルは、この船の目的を知った。
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