うさぴょん号発進せよ
「もしかして、それもコウヅキから聞いたの?」

「ううん、これは違うよ。これはお父さん、から…」

そう言うとミレイユはトヲルから目線を逸らし、金網の向こうをじっと見詰めた。

「あ!ああ、ええっと…。星、すごい綺麗だよねぇ」

トヲルはその寂しそうなミレイユの横顔から、何となく気まずさを感じ、慌てて上を向く。

「え?うん」

ミレイユも釣られて上を向いた。

二人は暫くそのまま無言で満天の星空を眺めていたのだが、やがて。

「あの宇宙(そら)の何処かに、お父さんが、いるのかな」

ポツリ、とミレイユが呟いた。
< 142 / 352 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop