うさぴょん号発進せよ
小型船は、無事に滑走路を飛び立った。

『着陸ポイント、転送します』

「了解」

セリシアから送られてきたポイント地点に合わせて、コウヅキは船を降ろした。

この惑星は辺り一面、岩盤しかない。

事前に調査したところ、生命体の存在しない星なのだという。つまり、生物や植物などがここには一切ない、ということらしい。

降りたのは、周りを360度見渡す限りの高い崖に囲まれた場所で、どうやらその谷間にある低地部のようだ。所々針山のように鋭く突きだした岩盤も見える。

天に輝く星々の光で、辺りはボンヤリと明るかった。

『今、到着したぜ』

『分かったでち』

トヲルの耳には、コウヅキと船長の会話が聞こえていた。

顔全体を覆っているヘルメットには、酸素供給という役目の他に、マイクとスピーカーが付いていて、それで通信ができるのである。

『…て、お前、何やってんだよ』

呆れたような顔で、コウヅキはトヲルの方を見た。
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