うさぴょん号発進せよ
なんとなく予想できることではあったが、コウヅキは敢えて聞いてみた。

「勿論、消滅するわ」

「まさかとは思うが、俺達は大丈夫なんだろうな?」

「それは…今は何とも言えないわね」

「!何だと!?さっきは簡単に抜け出せるって、言ってたじゃねぇかっ!」

コウヅキはヴェイトに詰め寄った。だがヴェイトは怯まずに、冷静さを保ったままである。

「普通なら、ね。でも状況は変わったのよ。
今この船は、磁場の流れに乗って移動しているけれど、これが正常な流れではなくなってしまったから。
本来ならこの流れに沿っていけば、外へ出られるはずなんだけど、それが正常ではないということは…、つまり現在この船は、何処へ向かっているのか分からない状態なのよ」

「何でそうなるんだ?」

「恐らく膨張現象の影響で、磁場の流れが不規則になったからよ。
しかもその流れが、徐々に弱くなってきている。何れはそれも止まることになるわ」

「流れが止まったら、どういうことになるんだ?」

「エネルギー蓄積により肥大し、爆発するわね」

「………」

船内が、しんと静まり返った。

それを最初に打ち破ったのは、弱々しいトヲルの声だった。

「僕たちはもう…駄目ってこと?」

「それもまだ分からない。でも諦めるのはまだ早いと思うわ。今お姉ちゃんが、正常なルートを探している最中だから」

ヴェイトの声に呼応するかのように、セリシアのキーを叩く音が、一段と速くなっていった。
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